大阪人がスペインで愛を得る旅

ワーキングホリデービザでスペインの南の方に住んでいます。

子犬系男子

なんでそうなったのかは忘れてしまったけれど、同居人は言った。

 

 

「前髪がある女の子が好きなんだよね。」

 

その前にも、可愛らしい声が好きだのなんだの言っていたので

ロリコン?」

と聞いてみると断固として違うと言われた。

ロリコンという単語は知っているらしい。

 

海外ではセクシー女子の支持が圧倒的多数だと思っていたので少々面食らった。

でもまあ、好みなんて人それぞれか。

 

日本に来ればいくらでも前髪が見れると教えてあげると、私にはなんで前髪がないのかと尋ねられた。

「いや、まあ、毎朝の手入れがめんどくさいから。前髪作ったら、毎日アイロンせな朝起きた時散らかってるんよ。」

私の理由に納得がいかなかったのか、まだ不可解そうな顔をしていたので

「昔は前髪があった時期もあるよ。」

と古い写真を見せてあげることにした。

 

 

2年前くらいだろうか。ロングヘアにしたくてユクステをつけていた頃の写真があった。

写真を見つめてしばらくだまっていたかと思うと

「心臓が..やばい...助けて....」

とうめいている。

「次はいつ前髪作るの?明日?」

と期待に満ちた目で訴えられた。

 

いや、どんだけ前髪好きやねん。

前髪ついてれば誰でもええんやろ。

自分の前髪でも鏡で見ときなはれ。という言葉はぐっとこらえた。

 

「やっぱりロリコンやろ。」

なかなか信じない私に、反論の意を唱える。

「ろりこんじゃない!第一俺は、大人っぽい顔の人が好きだよ。年上とか、実際年上じゃなくても精神的に成熟した女の人に魅力を感じるんだ。」

そういや、前にも年上が好きって言ってたな、とまだ日の浅い記憶を辿る。

 

「外ではできないけど、家に帰って彼女の前では甘えたいタイプなんだよね。へへ」

そう言った時の彼の表情をどう説明すれば良いのか。

まさに子犬が飼い主に褒められた時のような綻んだ照れ笑い、とでも言おうか。

くしゃっと笑った顔に垣間見えた子犬っぽさに、私のどこかが撃ち抜かれる音がした。

いやいやいやいや、へへっじゃないねん。可愛いかよ。

こちとら空前の子犬系男子ブーム真っただ中やっちゅうねん。

 

なんとか平然を装って恐るおそる尋ねる。

「女兄弟がいるって言ってたけど、お姉ちゃん?妹?」

聞かずとも大体想像はついていたけれども。

「お姉ちゃん」

やっぱりー!!その子犬スキルはしっかり幼少期から身につけた類のものですね。

天然の子犬か、悪くない。

いや悪くない、じゃなくて。

もう完全にわんこにしか見えなくなってしまったんですが。

どうしてくれるんですか。

 

 

 

 

「」=スペイン語

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