二次感情
扉を閉め切って、一人でタッパに詰めた作り置きを食べながら。
頭の中でぐるぐるといろんな感情が混ざり合う。
はじめは悲しみだった。
クロに突き放された悲しみ。
私が友達にはなれないから、もういっそ顔も見たくないと言った時、クロはあらかじめ用意していたかのようにこう言ったのだ。
「恋人になれないのなら、もう何にもなれない?何も一緒にできない?一緒にご飯を食べるのも、出かけるのも。これまでのように夜に一緒にアニメを見るのも。それだけ聞かせて。もちろん俺はそうしたいけど。もし君が望むのなら、今後一切君の人生に干渉しないよ。お互いの人生を歩もう。」
私は、クロのその言葉全てが気に入らなかった。
私に選択をさせているようだけれど。
答えを分かって聞いているのだろうか。
そんな簡単に、じゃあさようなら、なんてできないから。
だから苦しんでいるのに。
それとも、クロにとってはなんてことないことなのだろうか。
私は、次の瞬間からは何事もなかったようにできる程度の存在なのだろうか。
そう思ってしまって。
悲しくて、悔しくて、辛かった。
そして今、どうすることもできずにただ口に食べ物を運んでいる私。
一人部屋にこもって。
なんて惨めな。
なんでこんな思いをしなくてはならないのだろう?
と、今度は腹が立ってきた。
くよくよしている自分が急にバカらしくなって。
「今度はむかついてきたんやけど!!」
と理不尽にクロの部屋にもう一度突撃を仕掛けた。
我ながらめんどくさい女である。
俯瞰視するほど笑いが込み上げてきて、気づけば実際に笑っていた。
先ほどまで涙をこぼしていた人間が突然笑いながら怒りをぶつけてきたものだから、当然クロは困惑した表情を見せた。
無茶苦茶な自分の行動にもはや開き直った私は、今度こそ腹を割ってクロと話すことができた。
私は、クロが辛いことを前にしても落ち着いていられる理由を尋ねた。
単純に疑問だったのだ。
クロは、過去に経験したことでいくらか耐性ができたのだと話してくれた。
辛い経験をしたクロを想像すると、何とも言えない気持ちになって。
これまでどんな経験をしてきたのだろう。
できれば楽しいことばかりの人生を歩んでいてほしかった。
悲しいことや辛いこととは無縁の。
けれど、過去の経験があるからこそ今の彼があるのだ。
それならば、せめてこれからは彼には楽しいことばかりが待ち受けていますように。
今の自分の状況を棚に上げて、私はそんなことを考えていた。
※「」=スペイン語
「」=日本語
で会話をしています。