大阪人がスペインで愛を得る旅

ワーキングホリデービザでスペインの南の方に住んでいます。

体型

 

久々にお洒落をしたけれど、特に行き先は決まっていない。

 

せっかくなので、近所を散策でもしてみよう。

家の周りというのは、決まった道以外通らなくて案外未開拓だったりする。

 

Google mapに頼らずに、直感で右折と左折を繰り返す。

 

しばらく歩くと、可愛らしく飾られた住宅に出くわした。

家の主が手入れをしているのだろう。

目的は分からないが、写真を撮ってくださいと言わんばかりの気合いの入りようだった。

もちろんパシャリ。

 

可愛いおうち

 

一つひとつの置物に作り主の熱い心がこもっていそうだ。

なんだかあたたかい気持ちになるような空間だった。

 

 

家に帰ってから、ネットサーフィンをしていた。

画面の中の人たちはみんな着飾っていて、美しい。

引き締まった体。

女性らしい膨らみ。

 

なんだか。

急に悲しくなってきてしまった。

朝はあんなにご機嫌だったのに。

 

さして高くない控えめな身長。

それでも小柄な方ではなく、体重もそれなりにある。

胸元の脂肪は少ない方ではないが、カップ数に比べると主張しておらず少し寂しい。

一部の知り合いからは羨ましがられたこともあるが、それは脂肪を蓄えているというだけだ。

細身なのに出るところは出てる、漫画みたいな身体の人はごまんといる。

それに比べれば、なんとだらしない身体だろう。

 

自分を苦しめるような言葉がぐるぐると頭を駆け回り、埋め尽くす。

あ、だめだ。

そう思った頃にはもう遅くて、自ら負のスパイラルに身を投げてしまっていた。

 

考えまいとしてもなかなか元気が取り戻せない。

アニメを見ながらも心ここにあらずのくらい表情をした私に気づき、クロが頭を撫でてくれる。

理由はわからずとも、慰めようとしてくれたのだろうか。

 

「何があったんだい?」

そう聞かれ、私はさっきまで考えていたことを話した。

自分の体型に自信が持てない、と。

 

その告白を聞いたクロは心底驚いたような顔をしたので、私が驚いた。

「なんでそんなことを思うの?君はすっごくセクシーだよ。今朝の格好だって、スーパーセクシーだったよ。」

 

今朝の格好はニットにデニムだった。

特にどこかを露出したわけでもないし、何かが強調されるようなフォルムでもなかったはずだ。

一体どこがセクシーだったのか私には微塵も分からなかったが、クロは真剣だった。

 

「でも、くびれもないし…」

「細身が好きな人ももちろんいるだろうけど。細ければ良いってわけじゃないよ。何より君はまず完璧な顔だし。身体もそうだよ。世界中の男が君の虜になるよ。」

 

かなりクロの個人的趣向に基づいた主張ではあったが、私の機嫌を取り戻すには十分だった。

 

またしても私はクロに甘えて自分の機嫌をとってもらってしまったわけだが。

 

クロの一言であっという間に自信を取り戻せたように。

全ては考え方ひとつなのかもしれない。

私が私の身体を愛してあげなくてどうするんだ。

 

前にクロが言っていた、自分を愛するということ。

やっぱり、私はその方法を今身を持って学んでいるところなのだ。

 

ちょっとずつかもしれないけれど。

クロに助けてもらうことがまたあるだろうけれど。

 

少なくとも、数時間前よりは自分の身体が好きになれた。

 

 

 

 

「」=スペイン語

「」=日本語

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