脱毛
唐突だけれど、告白します。
私は、クロの毛を剃るのが好きだ。
理由は、なんだかスッキリするから。
以上。
クロは自身の毛が気に入らないらしく、将来は脱毛をしたいとも言っていた。
今は肌寒くなり肌を露出する機会が減ったので頻度は落ちたが、自分でたまに剃っている。
ある日、Amazonで評価の高い家庭用脱毛レーザーを見つけたらしく、颯爽と購入ボタンを押していた。
そして、それが届いてから一度剃毛を手伝ったのだ。
襟足など、自分では届かないからと言う理由だったが、やり始めるとなんとなく楽しくなり気づけば両腕も進んで処理を手伝っていた。
私自身の毛は、過去に医療用脱毛をしてからほとんど生えてこなくなっており、毛を剃る快感は自分では得られなくなっていた。
男の人ならではの自分よりも濃い毛を、全部剃ってツルツルにした時のなんともいえない達成感。
窓の隙間の埃を全て綺麗に掃除した時のような、なんともいえない充実感が胸に広がった。
一度体験してから、私は次はいつかとクロに尋ねては、今はまだだと跳ね返されていた。
はたから見ると、かなりヤバいやつかもしれない。
大丈夫か、私。
まあ、そんな待ちに待った機会がようやく訪れた。
題して、クロをツルツルにしてやるんだから〜第二回〜!
ネーミングセンスのなさはさておき。
早速作業に取り掛かった。
後でレーザーを当てるので、毛は完全に剃りきる必要がある。
脱毛に通っていた時に、剃り残しがあるとその部分はうまくレーザーが当たらないと注意されていた。
電動カミソリをウィンウィン言わせながら、せっせとクロの上半身にカミソリを滑らせた。
日本人と比べると、やはり西洋人は毛がこいのだと思う。
髭もみな潤沢に蓄えていらっしゃるし、胸元やへそしたに毛がある人は多い。
そんなわけで、剃り場所には困らなかった。
クロには腕だけで良いと言われていたが、視界に入ると剃りたくなってしまう。
上半身の前面は頑なに断られたので、背面に映る。
背中の下側に産毛に近い薄い毛があったのでそこをターゲットにした。
いざ剃り始めると、おそらくこれはおしりにつながっているのだろうことが分かった。
洞窟を探検するような気持ちで、どんどん深部へと向かう。
今や私とカミソリは一心同体だ。
好奇心に満ちた心でどんどんと突き進んでいく。
視界を遮る衣類をずらしさらなる先へ向かう。
初めはおとなしかったクロが、だんだん不審に思ったのか手を止めるように促してきた。
強行突破も考慮したが、その作戦はうまくいかなかった。
結果、クロのおしりは中途半端に毛が剃られた状態になってしまった。
改めて全体像を見てみると、その不自然さから笑いが吹きこぼれる。
剃ったからには、と有無を言わさずレーザーも当ててやった。
これで、この違和感を解消するためにはさらに剃るしかなくなったというわけだ。
そうなれば、クロも私が剃ることを認めざるを得ない。
一人にやり、と悪巧みをした笑顔を浮かべていると、クロが中途半端に剃られたおしりをチラチラと見せてくる。
くうう。
そんな剃り残しを見せられたら、綺麗に整えたくなってしまう。
頼むから、早く続きを剃らせてくれ。
※「」=スペイン語
「」=日本語
で会話をしています。