お風呂事情
ヨーロッパの人たちはお風呂に毎日入らない。
そもそも、日本人以外はほとんどシャワーで済ます国がほとんど。
そんな噂を耳にしたことはないだろうか。
私も実際にスペインに来る前は、お風呂事情にかなり不安を抱いていた。
お風呂に入るという習慣がないこと。
シャワーだとしても、朝に入る人が多いこと。
そんなイメージがあったので、今までの自分と大幅に異なる習慣に習うことができるのかが不安だった。
しかし、スペインで暮らし始めてしばらくすると、あっという間にそんな生活に慣れている自分がいた。
夏の間はさすがに汗を流したくて毎日シャワーを浴びていたけれど、日本にいる時ほどではなかった。
つまりは湿度の違いである。
おそらくだが、日本だと湿気によるベタつきが不快感となってシャワーを浴びたくなることが多いように感じる。
寝汗も同様で、朝起きた時に不快感からすぐにシャワーだけでも浴びたくなるのだ。
けれども、スペインの南部では湿度がかなり低く、夏場でも日本よりも格段にさっぱりしていた。
気温は遥かに日本よりも高いのに、まとわりつくようなジメジメ感は圧倒的にこちらの方が少なく感じた。
晴れて猛暑が去っていき涼しくなってきた現在なんかは、シャワーを浴びたいという欲求に責め立てられることはかなり少なくなった。
観察していると、入浴(といってもシャワーのみだが)の頻度は人それぞれではあるものの、毎日欠かさずシャワーを浴びる人は確かに少ないように思う。
2、3日経ってやれやれ、そろそろシャワー浴びるか。
仕方ないな。
くらいのスタンスのスペイン人をよく見る。
日本人である私にとっては、正直冬場に3日くらい体を洗わなくても平気そうだな、と感じている。
もちろん汗をかくくらい体を動かさなければだけれど。
体臭が日本人よりも強いヨーロッパの人たちは、匂ってきたらシャワーを浴びる、という感覚なのかもしれない。
その証拠に、日本と違って出かける前にシャワーを浴びることが多い。
日本だと、一日の汚れや疲れを落とす、といった名目で一日の終わりにお風呂に入る人が多いだろう。
体を洗う、という概念で言えば外出前に綺麗にする、という点で理に適っているのかもしれない。
もう一つ、実際に私が感じたことがある。
それは水圧の違い。
もちろんこれも場所によるとは思うが、平均すると日本が圧倒的に水圧が強いと思う。
ざっくりいうと、お風呂に入るためのインフラは日本の方が遥かに優れている。
お風呂に入る習慣があまりないからインフラに力を入れていないのか、インフラが整っていないからそういう習慣になったのか。
そこは知る由もないが、設備面で圧倒的に違いがある。
そこに水道代やガス代などコスト面での問題も加えられる。
日本のようにバスタブにお湯をためてゆっくりお風呂に入る、という状況はなかなか実現しにくい。
そもそもお風呂の温度が下がらないように熱気を閉じこめる作りになっていない。
お風呂場にトイレや洗面台があり、広いのだ。
これではお湯をためてもあっという間に冷めてしまうだろう。
そもそもバスタブがなくシャワーだけの家も多い。
しばらくスペインで暮らして、こっちでの生活にも慣れてきた。
シャワーだけの生活にも慣れてきたのだが。
冬本番を迎える頃には、さすがにあったかいお風呂が恋しくなってしまうなあ、と懸念している。
※「」=スペイン語
「」=日本語
で会話をしています。