ツリー
Amazonの仕事は早く、あっという間にツリーが届いた。
装飾の担当を司り、枝を広げるところから始めた。
クロはというと、珍しく朝から出かける準備をしていた。
寒がりの本領を発揮してブルブルと震えながらマフラーを首に巻いている。
「どっか行くん?」
「君へのプレゼントを見てくる。」
なるほど。
それならいくらでも行ってきてください。
よろしくお願いしますね。
小さいながらも、組み立てるとそれは立派なクリスマスツリーになった。
無事に一仕事終えたので、私も出かけることにしようか。
明日からは天気が悪くなるみたいなので、晴れている今日のうちに行っておく方が良いだろう。
私が出掛けようとした時、タイミングよくクロが帰ってきた。
「外は寒い?」
「まあね。でも歩いてたらあったかくなるよ。」
確かに、ここ最近は曇りが多くて肌寒い日が続いていたが、気温は20℃を超えることも多い。
基本的に日に当たればあったかいのだ。
まあ、念のためグルグルに巻かれていたマフラーを拝借することにした。
街に出ると、いろんな場所で冬を感じられた。
前まではなかったホットチョコレートのお店。
サッカースタジアムさえも、クリスマス仕様におめかしされていた。
もちろんショッピングモールはクリスマス一色。
至る所でプレゼントやクリスマスグッズが並んでいる。
流れる音楽もホリデーを感じさせるものだ。
複数のお店を行き来して、クロに何をあげようか考えを張り巡らせた。
気づけば辺りは暗くなり始め、気温も下がってきた。
今日のところは引き上げるとしよう。
家に帰ると、電気のついていないリビングに一点の光が見えた。
近づいてみると、それは午前中に飾り付けを終えたクリスマスツリーだった。
どうやらクロが移動させたらしい。
ツリーの足元には、手紙のようなものが置かれている。
そういえば、以前
「これな〜んだ。」
とニヤニヤしながら見せられたような気がする。
可愛らしいシールが貼られている。
一体何が入っているのか。
「プレゼントは、クリスマス当日まで開けちゃダメだからね!」
と念押しされていたことを思い出し、大人しくその日を待つことにした。
これから少しずつ並べられるプレゼントたちを想像すると、なんだか胸にあたたかいものが広がるのを感じた。
全てを開封するクリスマス当日は、きっと笑顔に溢れているだろう。
楽しみだなあ、とワクワクを心にためて。
楽しい1ヶ月になりそうだ。
※「」=スペイン語
「」=日本語
で会話をしています。