大阪人がスペインで愛を得る旅

ワーキングホリデービザでスペインの南の方に住んでいます。

ホリデー

 

最近はすっかりホリデームードの街並み。

 

スーパーは買いだめの人々が押し寄せ、品薄になっていたり。

同居人の一人も里帰りするらしく2週間家を空けるらしい。

 

道路を歩きながらふと見上げると、ベランダにちょっとしたイルミネーションが施されていたり。

 

どどんと大きなツリーが現れたフットボールスタジアム

 

日本にいる頃から、この季節は好きだ。

なんだか街全体で浮かれているようで。

心をときめかせる音楽と煌めく光にまんまと心が躍る。

個人的には、美味しいものをいくらでも食べられる言い訳もできるし。

 

 

さて、日本ではクリスマスというとカップルや恋人未満がソワソワし始めるイベント、というイメージが今や大きいかもしれない。

けれど、スペインでは家族や大人数で家で過ごすのがメジャーだそうだ。

 

クリスマスが終わればあっという間に大晦日がやってくるし。

日本なら年越し蕎麦を啜りながら笑ってはいけない笑いにお腹をここえて過ごしたり、初詣に出かけたりしていたけれど。

スペインにはどういう習慣があるのだろうか。

どうせなら、それっぽいことを体験してみたいものだ。

 

そのままクロに伝えると、

「こっちが年越しにすることと言えば、フィエスタだね。」

と温度のない声で答えが返ってきた。

 

フィエスタ、はいわゆるパーティである。

しかもこの場合は子供たちがツリーの周りを走り回るホームパーティではなく。

酒と色欲に塗れた情景を指しているのだろう。

ひそめた眉頭を見てすぐにそう察した。

 

クロは淫らな空気感が嫌い。

それは前にも何度か聞いたことがあった。

一度友人の付き合いでクラブに行くことが決まった日は、本当に四六時中ため息をついては行きたくないとごねていた。

お酒を飲んで騒ぐことよりも、その場の空気感に乗じて下心を感じる人間に嫌気が差すのだという。

 

そんなわけで、クロは私の想像通りにこう続けた。

「君にとっては異国の文化なわけだし。もし行きたいのなら止めはしないけれど。財布を盗まれたり、危ない人たちもたくさんいるだろうし、おすすめはしないよ。俺は、ごめんだね。家でアニメを見てる方がずっと幸せだ。」

 

ふむ。

パーティか。

もしこれが友人と来ている旅行だったなら、経験の一つとして少し見に行くくらいはしたかもしれない。

けれど、誰の付き添いもなく一人で。

しかも年越しを迎える瞬間を過ごすのは私にも魅力的な選択には思えない。

ましてやネガティブキャンペーンをふんだんに聞かされたあとだ。

 

「なんか特別に訪ねる場所とかやることあるんかなって思って聞いたねん。そんな危ない感じで一人は、私も行きたいとは思わんわ。」

「俺のことは、気にしなくていいから。行きたければ行っていいよ。」

「え、いや。話聞いてた?」

 

別に我慢とかしてないんですけど。

やれやれ、また話がこじれてきた。

 

 

 

 

「」=スペイン語

「」=日本語

で会話をしています。