大阪人がスペインで愛を得る旅

ワーキングホリデービザでスペインの南の方に住んでいます。

新たな展開

 

それは本当に予想だにしなかったことだ。

 

クロと一緒にいるとどうしても意識してしまうので、物理的に離れようと考えた。

そうだ、涼しくなってきたし久しぶりに中心地へ出掛けてみよう。

 

そう決めて、めかしこんで家を出た。

40分くらいの道のりも、せっかくだから歩くことにした。

 

しばらく歩いて、予想外の暑さに顔を顰めていた時だった。

大家かららの突然の電話。

 

家賃は期日内に払ったはず・・?と思い急いで電話に出ると今家にいるかと聞かれた。

ちょうどさっき出たところで、後4時間くらいは戻らないと伝えると困ったような声色で返ってきた言葉。

「今新しい入居者と家の前にいるんだ。俺鍵持ってないから、開けてもらおうと思って。そしたら、もう一人に聞くことにするよ。」

それはつまり、クロのことだ。

クロは普段学校終わりは直帰かスーパーに寄るくらいなので、私よりは先に家に戻るだろう。

 

それにしても、新しい同居人って。

なんの事前連絡もなく。

前もって連絡してくれれば家にいたけれど、直前どころかぶっつけ入居ではこちらもどうすることもできない。

日本じゃ考えられないようなルーズさにもはや笑うしかない。

 

それにしても、大家は新しい同居人は男だと言っていた。

このパターンは、予想していなかったな。

もともとシェアハウスなので同居人がいることは当然なのだが、何となくこのままクロと二人で暮らすものだと考えてしまっていた。

 

新しい人の前で二人についての話をするわけにもいかないし、クロとの関係がどんどん疎遠になってしまうのではとも懸念した。

まあ、今考えても仕方ない。

きっとこの新しい同居人は、状況の進展のために必要な変化だったのだと考えることにしよう。

 

とにかく今は久しぶりの中心地を楽しもうじゃないか。

 

そうして、セビージャの名所である大聖堂に並んでいた時だった。

猛暑を超えたからか観光客も多い。

久しぶりに日本語とスペイン語以外の言語を耳にして、環境の違いを感じた。

普段過ごしている住宅地とはまた違う空気感。

たまにはこういうのも必要だなあ、なんて考えていた。

 

携帯の通知がなる。

先日退去した女の子と、クロと私の3人のグループチャットがある。

どうやらクロが、新しい同居人とご対面したらしい。

 

少し前に、グループチャットに新しい同居人が来るらしい、と私がメッセージを残していた。

女の子からも驚きの反応が返って来て、誰なのかと尋ねられていた。

まだ外にいるから分からない、という私の返信で止まっていた。

 

「今大家と新しい同居人を家に入れた。最悪だ。俺はこの人が苦手だ。実家に帰りたい。」

その言葉を筆頭に、クロが一人で何通もメッセージを続けている。

通知が鳴り止まない。

 

 

 

 

 

 

「」=スペイン語

「」=日本語

で会話をしています。