カレー
キーマカレーにハマっていた。
以前、挽肉が余った時に見つけたレシピだ。
汁気がないので保存にも向いていて、何より簡単に美味しくできた。
「今日、私カレー作るわ。」
クロにそう言うと、
「じゃあ俺の分も挽肉焼いてよ。工程の途中で分けてくれればいいから。俺は日が通りさえすればいいからさ。そのままご飯に乗せて食べるから。」
と言われる。
別に、いいけど…。
「じゃあ、俺シャワー浴びてくるから。」
え?
それって、自分がシャワー浴びてる間に私が料理するから、自分はシャワー終わったらすぐご飯食べれるってこと?
「挽肉とお米は買ってきてあるから。」
食材を使わせてくれることはありがたい。
調理手順が途中まで同じなのだから、理論上は確かに私に負荷はない。
けれど、モヤッとしてしまうのは私の心が狭いのだろうか。
いや。深く考えないでおこう。
見返りを求めるから悲しくなるんだ。
無償に与えれば、いつか良いことが起こると考えよう。
気分を上げるために好きな音楽を聞いて、料理を始めた。
クロがシャワーから出てきた時には、まだ全ての工程は終わっていなかった。
一度に大量のお米を炊いたのでまだ炊き上がっていない。
「遅い!」
それを見たクロから発せられた言葉に、また私の機嫌は悪くなる。
ふざけて言っているということは分かっている。
モヤモヤしていたら、ちょうど友人から電話がかかってきた。
他のことに集中することで、さっきまでの負の感情は消えた。
そして、電話中にちょっかいをかけてくるクロを見ていたら、またどうでも良くなった。
先に食べ終えたクロが私の分もお皿を下げてくれたので、少し遅れてキッチンに向かう。
すると、早速洗い物をしてくれていた。
「私の分まで。ありがとう!」
「大したことないよ。洗い物は一瞬だ。君は料理をしてくれた。そっちのほうが大変なことだよ。」
「どっちがどうとかないよ。ありがとう。」
やっぱりクロも、クロなりに考えている。
表面上の出来事ばかりにとらわれてはダメだ。
※「」=スペイン語
「」=日本語
で会話をしています。